絵画で掌編
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浦波 -うらなみ-
やっと取れた休暇を、故郷に似た海辺で過ごそうと思った。 故郷にいた時分にはあれだけ煩わしかった波音が懐かしくなるのだから、人間...
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貌鳥 - かおよどり -
「森には美しい鳥がいる」 嘆きの鳥と歓喜の鳥。 人を惑わし、人を非難し、人に寄り添う鳥だという。 本当にそうだろうか。 彼...
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promise - プロミス -
「貴女がこの国を気に入るといいのだが」 鳥の国の王様が、人の国から嫁いできた姫に向かってそう言った。 「数百年を生き、人語も解す...
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道行き
夜半から降った雪は、明け方には消えた。 吹雪の中を往くよりはいくぶんマシだが、お世辞にもツイているとは言い難い。なにせこう道が...