2023年10月
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ヒアシンスと苺と悪魔 01
『ねえキミ、ストロベリーは好き?』 彼は開口一番そう聞いた。 どこの家でもそうだろうが、月曜の朝はちょっとした戦場だ。ことに日...
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風祭 -かざまつり-
風に乗って祭り囃子の音が聞こえた。 遠いのか近いのか、狭間の曖昧な太鼓の音が青々とした山々にこだまして返ってくる。 「わぁ、も...
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I'm home
久しぶりに降りた駅は、懐かしい香りがした。 そう思ってしまった自分に驚く。 敵地といってもいいはずの場所に安堵を覚えるなど―...
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緋色
チリチリと音がします 風に揺られてチリチリと あれは、葉擦れの音でしょう。 サラサラと音がします 風に散らされサラサラ...
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エリカ・ムスターマンの死 03
その日、ロイドは家族で家から一番近い食料品店に来ていた。 歩いて数ブロックのこの店は、セントラルパークにも近く、品揃えも充実し...
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エリカ・ムスターマンの死 02
オスタニアの首都バーリントは、国の中心からやや西側に位置している。 東国の総人口は千七百万人と、他の諸外国と比較しても決して多...