ハウルの動く城
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申し分なく
穏やかな夜だった。 聞こえてくるのは、カシャカシャという水を含んだ食器の音と、それに合わせてリズムを刻む鼾の輪唱、そしてカルシ...
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ヒアシンスと苺と悪魔 05
マルクルの頬を秋の風が通り過ぎた。 日は既に頂上から西へ傾きだしている。目の前に広がる町の中心部にある大きな時計塔が三時過ぎを...
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ヒアシンスと苺と悪魔 04
ハウルは数日経っても帰ってこなかった。 その間、マルクルは階段の下のスペースにソファとそこらにあった毛布を持ち込んで包まって寝...
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ヒアシンスと苺と悪魔 03
「……は?」 マルクルはジェンキンスを見上げながら、その言葉の意味がわからずに素っ頓狂な声を出す。 ストロベリー? ストロベリ...
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ヒアシンスと苺と悪魔 02
「とっとと出て行け!」 熊のような巨体の男に張り倒されて、マルクルは舗装された石畳に勢いよく転がり出た。同時に、一個のりんごがコ...
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ヒアシンスと苺と悪魔 01
『ねえキミ、ストロベリーは好き?』 彼は開口一番そう聞いた。 どこの家でもそうだろうが、月曜の朝はちょっとした戦場だ。ことに日...